2013年8月10日土曜日

西市場、謝宅


夜遅くに戻って、朝には出発してしまう。その数時間のためだけにここへ滞在するにはもったいないほど素敵な部屋。今までの台湾トリップの中でも間違いなく一番ファンシーなホテルだ。

カウチで十分寝れるからと弟が言うので、エクストラベッドを準備し始めていたボーイにその事を伝えようとしたけど、英語も日本語も通じない。仕方なくフロントに連絡して、電話越しに通訳してもらったにもかかわらず、結局サービスでベッドを用意してくれた。なんとも気前のいい。

エレベーターを降りて通路に出ると、眼下にビュッフェを見ることが出来た。いつものビジネスホテルでは味わえない光景が、だいぶ調子にのせてくれる。

なんて、ラグジュアリーなホテルもたまにはいいけれど、ラグジュアリーなホテルはただそれだけで味気がない。かわいい、でもそれだけの女。ふとRCの曲を思いだした。


本当に泊まりたかったのは「西市場、謝宅」という名の民宿のようなゲストハウスのような場所。 いつのまにか日本語の紹介ページも出来ているので、ぜひチェックしてほしい。きっと泊まってみたくなるから。

・西市場、謝宅
http://www.wretch.cc/blog/ohworkshop/5588922


2013年6月20日木曜日

台南に生きている

自動券売機は無かったように思う。筆談することで、問題なく沙崙(サロン)までの切符を買う事ができた。ここでも無印のモバイルノートが役に立った。出会った人の名前や言葉の読み方を書き留めたり、今回のように漢字で行き先を伝えたりしていると、一度の旅で一冊を使い切ってしまう。ズボンの後ろポケットにすうっと収まって、サッと取り出せる大きさがちょうどいい。

この台南駅は、片倉さんの本によると、昭和16年に竣工した現在の駅舎の二階部分が、当時は「台南鉄道ホテル」として利用されていたそうだ。わずか9部屋だけの客室は、今では倉庫として使われているらしい。

改札の向かいにあるプラットフォームに出ると、そこに停まっていたのがこの車両。窓には鉄格子がはめられていて、そおっと車内をのぞいてみると座席すらないことに驚いた。ああ、台湾の電車は思ってたよりも相当ゲトーだなと、次の電車が来るまで本気で思っていた。

頼れる弟のうしろ姿。地下鉄に比べるとローカル感の漂う車内。ドア横にぶら下がっている黄色いチェーンが謎。

車両のラッピングはバス同様に派手で、昔よく飲んでいたSoBeのような柄をしている。懐かしくなってSoBeのサイトをチェックしてみると、そのデザインの変わり様に驚いた。あのオリエンタルな雰囲気は一体どこへいってしまったんだろう。。

約20分ほどで沙崙駅に到着。高鐵台南駅との連絡も最高にスムーズで、沙崙の改札を出た所がそのまま高鐵の二階部分に繋がっているという感じだ。こんなことなら最初から電車を使っても良かった。遅れて日本からやってきた母親とも無事に合流。

ホテルへと向かうタクシーの中で陳さんの携帯に電話してみた。もしかしたら台南で会えるかもしれない、そんな期待を持って。けれどタイミング悪く、謝さんと一緒に中国へ出張中だということが分かる。陳さんは前と変わらず僕のことを兄弟と呼ぶ。

2013年6月8日土曜日

Chow Yun-Fat

この街の土地勘をつかもうと結構な距離を歩いた。昼間に比べると、少し過ごしやすくなった気もするけれど、慣れない暑さに参りそうになる。ホテルへの帰り道、わざわざ遠回りして目指したのは太陽牌という名のかき氷屋。

彼女とスクーターで乗り付けてかき氷を食べて帰るライフスタイル。そんなお客さんがひっきりなしにやって来る。台北ではあちこちにかき氷屋のチェーン店を見かけるけど、台南や高雄ではこのお店のように、派手ではないけれど、ローカルに愛されている店が多い気がする。


意外にも間近で踏切を見るのは初めてかもしれない。そのスタイルと配色は日本のものとあまり変わりない。そういえば、こないだ男たちの挽歌シリーズを見ていると、電話をかけるチョウユンファ越しに西門の街が映っていた。あの時代は今のように地下鉄が整備されていなくて、電車は地上を走っていたことが分かる。

2013年2月16日土曜日

極めてローカルな世界

保哥黒輪という人気店が近くにあるというので行ってみることに。なんでも、汁なしのインスタントラーメンに半熟卵をかきまぜて食べるという炒泡麺が大人気で、店内はいつも満員だという。通りを渡ると、周辺はシャッターの下りた店ばかりで、不安になるほど暗く人気のない通りを、さらに脇道に入った場所にその店はあった。

店頭にはいくつものフライパンが並び、そのインスタントラーメンらしきものをぐつぐつと煮込んでいる。店内にかかったメニューを見ても何が何だかさっぱり、その漢字から想像することも出来ない。しかしここでは言葉が通じなくて困った。現場で養ったストリート中国語も全く役にたたない。注文してから席に着くのか、席に着いてから注文するのかも分からないし、誰も声をかけてくれないという極めてローカルな世界。店員の兄ちゃんは忙しそうに注文をこなしている。

フライパンを指差すことで何とか注文は通じたようだけれど、テーブルに案内される訳でもなかったので、そのまま店頭で待つことに。しばらくして渡されたのは持ち帰り用の炒泡麺。出来れば店内であつあつの麺を食べたかったのに。。仕方なく弟と二人、孔廟の隣にある公園のベンチに腰掛けて、評判の麺を頂くことにした。

縦に長い入れ物には、麺とその上に半熟卵が。これまでの時間を取り戻すかのように卵をかきまぜた。話に聞いた炒泡麺、美味しいけれどいたって普通の味だなこりゃ。やはり店頭で目にするあのパフォーマンスと、出来立てを食べれる状況がそろってこそだと感じた。次回は何種類かを食べ比べてみたい、もちろん店内で。だけどその前に言葉の壁を乗り越えないと。

2013年2月4日月曜日

気を巡らせる

駅から15分ほど歩いたろうか、辺りはすっかり暗くなってしまった。分かってはいたけどやはり台南孔廟も閉まっている。太極拳をしている人がいたら真似をして、とFRaUに書いてあったけど、まさか本当にいるとは思ってなかった。指の先まで気を巡らせるゆっくりとした一連の動作は、早歩きでここまで来た僕たちの足をとめる。深呼吸。ちゃんと見ないと、ちゃんと分からない。

2013年1月30日水曜日

路地裏を照らす

シャングリラは街の中心部から少し距離があるため、あまり立地がよくないという話をよく目にした。けれど前回は台南駅を遠目で確認しただけに終わってしまっていたので、逆にこれで良かったように思える。ホテル前の交差点を渡ってすぐのところに、台南駅正面へと続く地下道を見つけた。

あらためて台南には緑が多いと感じた。何と言うか、ずっと昔からそこにあって生活に馴染んでいる。手入れしていないようでしている。いや、多分、していない。何かを特別なものとして思わなくなった時、それはやっと生活の一部になる。上手に育てようと肥料を与え続けた結果、本来の姿ではなくなる野菜や果物もきっと同じことだ。

路地裏を照らす生暖かい街灯の明り。この感じ。その時代を生きた訳じゃないけど、どこか昔の日本を感じるこの空間に存在したくて僕は台湾を旅しているのかもしれない。

2013年1月28日月曜日

香格里拉台南


台南では香格里拉台南遠東國際大飯店にステイ。出発前に買った好好台湾でも「調子にのせてくれるホテル」と紹介されていた。AB Conceptによってデザインされたロビーとレセプションは、過去にGold Key Awardという賞を取ったこともあるらしく、高級感にあふれている。対してこちらはTシャツに短パンという子供のような格好。その雰囲気に気後れしそうになるけれど、まだ土地の気温と蒸し暑さに身体が慣れていないせいで、それでも自然と汗が吹き出てくるほどだった。
部屋からは台南の街が一望できる。右下に見えるのが台鉄台南駅で、孔子廟や神農街は線路の向こう側に位置する。前に泊まったホテルもおそらくあちら側にある。台南には高い建物がないと書いたけれど、実はこのホテルが一番高い建物だということを今になって初めて知った。

2013年1月24日木曜日

自然とそうある

台湾で初めて首都が置かれた古都として知られる台南は、台湾の京都とも呼ばれている。確かに、緑が多くて空が近く、向こうに山が見えるその感じは、どことなく京都に似ているかもしれない。

信号待ち、やはりここでもすさまじい数のスクーター祭り。でも台南の街は、規制があるのか自然とそうなのか、高いビルが少なくて、台北に比べるとずいぶんと開放的。いつかこの集団に混じってスクーターをぶっ飛ばしてみたい。

2013年1月22日火曜日

台南の風景

桃園を出たのが15:57分、約1時間半のトリップで台南に到着。これだけ南下すると気温も上がったように感じる。空は少し雲が多かったけれど、Yahoo!奇摩によると今夜雨の降る確率は低い。


プラットフォームから見渡す台南の景色は緑に包まれている。あの夏この土地で過ごした数週間、胸の中で色んな思いが込み上げてくる。


高鐵台南駅

木陰で一休みしようとベンチに近づくと、隣りには豆のなる木が。その大きさは衝撃的。これ、食べれるんかな?

ここから台南の中心部までタクシーで20分ほど。在来線で向かおうとも考えたけど、土地勘のない台南で動き回るにはどうにもスーツケースが邪魔に思える。夜にはまたここへ来るんだから、その時は電車を使おう。そう言って、駅の反対側にあるタクシー乗り場へと向かった。

2013年1月20日日曜日

夢に見た台中

いつもはバスで台北市内へ向かうため、桃園駅を利用するのは今回が初めて。駅はとても清潔で、混雑していない分、日本のそれよりも居心地がいい。始発駅ではないここでは関係ないけれど、台北から新幹線に乗る時は乗車直前までプラットフォームへ降りることが出来ない。ゲートが閉じられていて、そこから前に進めないようになっている。

台南に着いたら腹いっぱいになるまで食べ歩くことは分かっていたので、セブンイレブンでご当地シェフの巻き寿司のようなおにぎりを買ってみた。漢字から想像したところチキンのブラックペパー焼き?ごはんと比べたソースの量に物足りなさを感じたけれど、ジャケ買いにしては当たりだった、と思う。あまり印象に残っていないと言うことは、やはりそれほどおいしくなかったのかも。

車窓から見た台中。以前ぶどうの輸入業者を訪問する予定だったけど、インフルエンザ拡大の影響でその話が流れてしまったという苦い思い出。あのプロジェクトがうまく進んでいたら、今とは全く違った人生を送っていたのかもしれない。いつかを回想する僕を乗せて、新幹線は次の駅へと南下していく。台南まであと1時間。

2013年1月19日土曜日

かならず台南へ








空港へ到着して両替をすませると、僕たちはすぐ高鐵桃園駅へと向かうシャトルバスに乗った。バスが来るまでの待ち時間、風が運んでくる暑さとあの独特の香りは今まさに台湾にいることを実感させる。

この夏の旅は台南に行くと決めていた。もし可能なら高雄まで足を運びたい、そう思っていた。台南を訪れるのはもう5年ぶりぐらいだろうか。けれど前回は謝さんたちと酒を飲みすぎてしまい、三越前の屋台で食事を済ませると、街を歩き回ることなくホテルでダウンしてしまった。そんなこともあって、もう一度台南を訪れたいと思っていた。かならず。